「…バカになんてしない。

…バカなのは俺だから」

「何、言って」

「…希美が泣いてるのに、俺は喜んでる」





榛名が違う女を選んだから。


そう自嘲するような笑みを浮かべる壱縷。


だけど何処か嬉しそうで訳が分からない。


その優しげな目に居たたまれなくなって一歩下がろうとすると腕を掴まれた。


これ以上、逃げられない。