「じゃあ退きなよ。そこは加藤君の席なんだから。壱縷の席は窓際の一番後ろでしょ。特等席じゃない」
「…ここがいい」
「また席替えあるんだし我慢しなよ。もうすぐ席替えするって先生言ってたよ?」
そう言うと壱縷は目をぱちくり。
席替えの話は嘘じゃない。
「だから待とうよ。私と近くになるの」と壱縷を宥める。
近くとか真っ平ごめんだけど。
しかし口車に乗せられた壱縷は渋々頷いた。
そして立ち上がって加藤君に席を譲る。て言うかそこは元々加藤君の席なんだけどね。
「…ごめん」
「う、ううん。次は春日さんの隣になれるといいね。頑張ってね、壱縷君」
「…加藤君、」
「うん?」
「…いい人…」
「い、壱縷君…!」
何友情芽生えてんだそこ。