壱縷が私の髪を指にくるくる絡めるのを見ながらぼんやりしていると、加藤君の声が聞こえた。 加藤君とは壱縷が座ってる席の持ち主。 「…あ、あの壱縷君、ど、退いて貰えませんか?」 長々と座る壱縷を邪魔に思っても致し方ない。 明らかにこちらが悪いのに加藤君は申し訳なさそうにおずおずと壱縷を見る。