「…分かった。今日は生徒会の仕事もないからいいよ。でも寄り道はしないからね。LaLaにも行かない」
ただ一緒に帰るだけ。
なのに壱縷は目を輝かせた。
分かりにくい喜び方だ。
顔は無表情なのに目だけキラキラしてる。何か、変。
「…本当?」
「うん」
「…逃げないでね」
「はいはい」
さらりと流しても嬉しげな壱縷は眼鏡を掛け直してくれた。
眼鏡に引っ掛かった髪をスッと解かして整えられる。
戻ってきた眼鏡にホッとしつつ、壱縷を見ると、あまりにも嬉しそうだったからたまには一緒に帰るのもありかな、なんて。
今までは誘われてもそそくさ帰るか、壱縷が部活で私は生徒会だったから、中々時間が合わなかった。

