俺に惚れてよ~一匹狼の嫉妬~






「…じゃあ返さない」

「じゃあの意味が分からない」





じゃあって何だ。じゃあって。


太るか眼鏡かなんて究極の二択だ。


しかも眼鏡が似合ってることが何か腹立つ。


イケメンは本当に何をしても様になる。





「…希美と帰りたい」





キツく言い過ぎたのか心なしか暗くなる壱縷。少し悄気てる。


私がそうさせたみたいで何かモヤモヤしてきた。


どんより背後に靄を背負う壱縷にげっそりしてると、斜め後ろに座る女子の喋り声が耳に入る。


『見て見て。また希美ちゃん、壱縷君を叱ってる』『本当だ〜。もう少し優しくしてあげたらいいのにね』『ねぇ〜?』


結局私が悪いのか。


断じて叱ってるわけではないのに暗い壱縷と睨む私だとそう見えるらしい。