「そっか。壱縷って部室でよく『希美に嫌われてるかも』ってボヤいてるんだよ」 榛名君に『希美』と言う名前を呼ばれてドキンとしたのは秘密。 ただ壱縷の真似をしただけなのに。 「嫌いじゃ、ない。 でも苦手、かも」 「壱縷、いい奴だよ?」 「そうかもしれないけど、」 苦手なことには代わりない。 どこがと聞かれれば、あの真っ直ぐなところだ。そしてたまに見せられる真剣な壱縷が苦手。 いつもぽわぽわしてたらいいのに稀に真面目な顔で私を見るから、目を逸らしたくなる。