「のんちゃん」 壱縷はたまに私をのんちゃんと呼ぶ。 私をのんちゃんと呼ぶときは、からかってるときや、何かを誤魔化すとき、そして甘えるとき。 壱縷は私のスカートを指差すと無表情でとんでもないことを言い残して立ち去った。 「ファスナー、開いてる」 僅かに見えていたパンツに慌ててチャックを直すも、壱縷はもういない。 壁ドンとやらも、からかわれたのかと気恥ずかしくなって誰もいない廊下を睨んだ。