「はじめーっ!なあ聞いてくれよ!新八を槍の柄で叩いたこと芹沢さんにチクるって言われたぁ!もうこの世の終わりだぁ!助けてくれぇ!」
何者かがいきなり自室に飛び込んできたかと思うと、今度は抱きついてきた。
それが原田だったことに、三番組組長斎藤一は溜め息を吐く。
「お前は馬鹿か左之助。新八がそんなことでチクると思うか?寧ろ楽しんでるようにしか見えねぇぞ」
「ホントに?ホントにそう思うのか?」
「本当だ」
斎藤の呆れ返事に、原田は確認を取る。
斎藤もそれに返事をしてやる。
「ホントのホントに?マジで?新八チクんねぇか?」
「だからチクんねぇ」
しかし原田がしつこく聞いてくるため、これを二回繰り返したところで斎藤は返事するのをやめた。
「…………はじめの肩、暖かくて眠くなる……」
「お前そんなに変態だったか?」
斎藤は変態発言をする原田を引き離し、その額にデコピンを喰らわせた。
「いてっ!」
「新八を槍の柄で叩いた罪と、他人の部屋への不法侵入の罪と、それから変態発言の罪で、デコピン三発の刑と足つぼ押す刑を執行~。ってことであと二発デコピンするのと五分の足つぼ押しな」
原田はギクリと表情を強ばらせる。
「あっ……足つぼですか?……斎藤さんツボの場所わかりますか?」
一度四番組組長松原忠司に足つぼを押された時のトラウマが残っていたのだった。
松原は何故か完璧にツボを知っていたので、斎藤がツボを知っていれば今回は確実に死んだなと、内心確信していた。
原田は斎藤が知らないと返事するのを願っていた。
が、実際には「おう」と一言発せられるだけで、早々とデコピン二発は執行される。
「え、やだ!松原さんのことお前覚えてるだろ!?」
「おう」
「だったらやめろよ!」
「そしたら刑になんねぇだろ」
斎藤はそう言うと、原田の足の裏をグイッと押した。
「いだだだだだだ#%$@☆*□~~~っ!」
ちなみに、この悲鳴で駆けつけるものは誰ひとりとしていなかった。
ノコノコやってきたを含めれば、一度三毛猫が覗いただけであった
永倉は必死だった。
この本に出てくるアテナの記述を、全て覚え尽くしたいがために。
ゼウスでもクロノスでもハデスでも、憧れるのは誰でも良かったのだが、彼女の瞳にはアテナしか入っていかなかった。
何かを守るために戦場に立つアテナ。
一度、落城寸前のトロイ城でメティスを守るためにヒュペリオンと対峙し、『我に勝ちたくば全てを捨てて此処に来い』と言われ、その戦いは敗北。
その場で気絶して、目が覚めるとオケアノスに救われており、盾アイギスを授かって再び戦場へと舞い戻っていく。
そんなアテナの行動に、永倉は大いに惹かれていた。
「私も……アテナみたいに、なりたい……」
そんなアテナの話を読めば読むほど、胸の鼓動は高鳴り、憧れる。
いつか守りたいものが出来た時に、それを守れるように……。
しかし、それと同時に彼女はポセイドンにも憧れ始めていた。
ヒュペリオンと死闘を繰り広げながらも、乱入してきたクロノスに重傷を負わされ、それでもなお、ヒュペリオンと戦い続けた。
『この方が、貴様と同等の戦いができるな。どこからでもかかって来い、ヒュペリオン……!』
重傷を負ってもなお静かに言い放つポセイドンの精神の強さにも、ときめく。
永倉は同時進行で、二人の物語を熟知しようと決めた。
「新八さんそろそろ飯。その前に風邪ひくよ」
薄暮に差し掛かる頃合にひょんと顔をのを覗かせたのは八番組組長の藤堂平助だった。
しかし、そんな藤堂にも気づかず、永倉はずっと本と向き合っている。
「ていうか目、悪くするよ」
反応はない、目の前で声をかけるのに、反応はない。
「新八さーん、おーい、聞こえてますかー?」
藤堂は人差し指を永倉の額に当て、クイッと上にあげる。
「うわわゎっ!?……何だ平助かびっくりしたぁ……」
猫のように身を跳ね上げた永倉の反応に、藤堂は笑いが堪えれれなかった。
「ぷはっ!ふははははっ!何その反応あっははははっ!」
「なっ、なんか変なことした?アテナとポセイドンとお友達になろうとしてるだけなんだけどなぁ」
「ははっ……え?アテナ?ポセイドン?何それ美味しいものなの?」
この本の事情も内容も知らない藤堂は頭に疑問符を浮かべる。
すると永倉は両手の人差し指を交差させ、自らの口の前に運び「ち~が~う」と一言発する。
「アテナもポセイドンも、この本の登場人物なの。ふたりとも勇敢な女戦士だったり海王だったり。アテナが戦場に向かう理由は、全てを守ることができない世界で、全てを守ることを証明するため。アテナに憧れたのは其処。そしてポセイドンは、ヒュペリオンとの死闘を繰り広げてたんだけど乱入してきたクロノスの一太刀で重傷を負ってしまう。それでもその方が同等の戦いが出来るって言ってヒュペリオンと戦い続けた。重傷を負ってまで戦い抜こうとするポセイドンの心の強さにも、私は憧れたの……」
そっと本を閉じた永倉が語っている内容を半分しか理解できていない藤堂だが、惚れた人のことを嬉しそうに話す乙女の表情で本を抱きしめている永倉が、彼の瞳には映っていた。
そんな彼女に藤堂も笑みを零す。
「そっか。でも飯だから、あんまり遅くなると左之さんいじけちゃうし土方さんも怒っちゃうし、行こっか」
「うん、そうだね」
芹沢の部屋がある前川邸から広間や幹部たちの部屋がある八木邸までは少し距離がある。
それでも、永倉はその本を決して手放さなかった。
何者かがいきなり自室に飛び込んできたかと思うと、今度は抱きついてきた。
それが原田だったことに、三番組組長斎藤一は溜め息を吐く。
「お前は馬鹿か左之助。新八がそんなことでチクると思うか?寧ろ楽しんでるようにしか見えねぇぞ」
「ホントに?ホントにそう思うのか?」
「本当だ」
斎藤の呆れ返事に、原田は確認を取る。
斎藤もそれに返事をしてやる。
「ホントのホントに?マジで?新八チクんねぇか?」
「だからチクんねぇ」
しかし原田がしつこく聞いてくるため、これを二回繰り返したところで斎藤は返事するのをやめた。
「…………はじめの肩、暖かくて眠くなる……」
「お前そんなに変態だったか?」
斎藤は変態発言をする原田を引き離し、その額にデコピンを喰らわせた。
「いてっ!」
「新八を槍の柄で叩いた罪と、他人の部屋への不法侵入の罪と、それから変態発言の罪で、デコピン三発の刑と足つぼ押す刑を執行~。ってことであと二発デコピンするのと五分の足つぼ押しな」
原田はギクリと表情を強ばらせる。
「あっ……足つぼですか?……斎藤さんツボの場所わかりますか?」
一度四番組組長松原忠司に足つぼを押された時のトラウマが残っていたのだった。
松原は何故か完璧にツボを知っていたので、斎藤がツボを知っていれば今回は確実に死んだなと、内心確信していた。
原田は斎藤が知らないと返事するのを願っていた。
が、実際には「おう」と一言発せられるだけで、早々とデコピン二発は執行される。
「え、やだ!松原さんのことお前覚えてるだろ!?」
「おう」
「だったらやめろよ!」
「そしたら刑になんねぇだろ」
斎藤はそう言うと、原田の足の裏をグイッと押した。
「いだだだだだだ#%$@☆*□~~~っ!」
ちなみに、この悲鳴で駆けつけるものは誰ひとりとしていなかった。
ノコノコやってきたを含めれば、一度三毛猫が覗いただけであった
永倉は必死だった。
この本に出てくるアテナの記述を、全て覚え尽くしたいがために。
ゼウスでもクロノスでもハデスでも、憧れるのは誰でも良かったのだが、彼女の瞳にはアテナしか入っていかなかった。
何かを守るために戦場に立つアテナ。
一度、落城寸前のトロイ城でメティスを守るためにヒュペリオンと対峙し、『我に勝ちたくば全てを捨てて此処に来い』と言われ、その戦いは敗北。
その場で気絶して、目が覚めるとオケアノスに救われており、盾アイギスを授かって再び戦場へと舞い戻っていく。
そんなアテナの行動に、永倉は大いに惹かれていた。
「私も……アテナみたいに、なりたい……」
そんなアテナの話を読めば読むほど、胸の鼓動は高鳴り、憧れる。
いつか守りたいものが出来た時に、それを守れるように……。
しかし、それと同時に彼女はポセイドンにも憧れ始めていた。
ヒュペリオンと死闘を繰り広げながらも、乱入してきたクロノスに重傷を負わされ、それでもなお、ヒュペリオンと戦い続けた。
『この方が、貴様と同等の戦いができるな。どこからでもかかって来い、ヒュペリオン……!』
重傷を負ってもなお静かに言い放つポセイドンの精神の強さにも、ときめく。
永倉は同時進行で、二人の物語を熟知しようと決めた。
「新八さんそろそろ飯。その前に風邪ひくよ」
薄暮に差し掛かる頃合にひょんと顔をのを覗かせたのは八番組組長の藤堂平助だった。
しかし、そんな藤堂にも気づかず、永倉はずっと本と向き合っている。
「ていうか目、悪くするよ」
反応はない、目の前で声をかけるのに、反応はない。
「新八さーん、おーい、聞こえてますかー?」
藤堂は人差し指を永倉の額に当て、クイッと上にあげる。
「うわわゎっ!?……何だ平助かびっくりしたぁ……」
猫のように身を跳ね上げた永倉の反応に、藤堂は笑いが堪えれれなかった。
「ぷはっ!ふははははっ!何その反応あっははははっ!」
「なっ、なんか変なことした?アテナとポセイドンとお友達になろうとしてるだけなんだけどなぁ」
「ははっ……え?アテナ?ポセイドン?何それ美味しいものなの?」
この本の事情も内容も知らない藤堂は頭に疑問符を浮かべる。
すると永倉は両手の人差し指を交差させ、自らの口の前に運び「ち~が~う」と一言発する。
「アテナもポセイドンも、この本の登場人物なの。ふたりとも勇敢な女戦士だったり海王だったり。アテナが戦場に向かう理由は、全てを守ることができない世界で、全てを守ることを証明するため。アテナに憧れたのは其処。そしてポセイドンは、ヒュペリオンとの死闘を繰り広げてたんだけど乱入してきたクロノスの一太刀で重傷を負ってしまう。それでもその方が同等の戦いが出来るって言ってヒュペリオンと戦い続けた。重傷を負ってまで戦い抜こうとするポセイドンの心の強さにも、私は憧れたの……」
そっと本を閉じた永倉が語っている内容を半分しか理解できていない藤堂だが、惚れた人のことを嬉しそうに話す乙女の表情で本を抱きしめている永倉が、彼の瞳には映っていた。
そんな彼女に藤堂も笑みを零す。
「そっか。でも飯だから、あんまり遅くなると左之さんいじけちゃうし土方さんも怒っちゃうし、行こっか」
「うん、そうだね」
芹沢の部屋がある前川邸から広間や幹部たちの部屋がある八木邸までは少し距離がある。
それでも、永倉はその本を決して手放さなかった。
