元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー





「全部忘れろとは言わない。ただ、ずっと引きずるわけにはいかないから、」





...だから、やり直そう





私の目を真っ直ぐに見たまま、蓮はそういった。





「都合の良いことはわかってる。だけど俺は、...俺達は、桜と一緒に居たいんだ」




「......っ」




そんな風に言わないで。そんな切なげに見ないで。全部忘れて、あの頃に戻りたいと思ってしまう。




「わ、たし、は...」





みんなに縋るようにここに来たわけじゃない。



麗華に背中を押してもらって、真実を話そうとここに来たんだ。




なのに蓮にそう言われると、途端に縋り付いてしまいそうで、怖い。私の意思が、無くなりそうで怖いの。






声が震え、足も震えて、


まともに立ってられない。





「許してもらえるなんて思ってないよ。...だけど、桜と一緒に居たい気持ちは本当だ」






苦しげに慧が言う。