”何か”あったのは分かりきっている。



だからこそ、渉を止めた。




渉は敵には容赦ない。



俺たちの誰かが止めるまで、ずっと、ずっと殴り続ける。




だから、気付かない。




周りにで何が起きているのか、それさえも分からない。



渉は喧嘩をするとき、自分の世界に篭るから。



周りが見えないのは危険だ。



命取りにもなる。







「ーーー渉、喧嘩のとき抑えがきかない癖、治せよ?」




「……、分かってる」





俯いて唇を噛む渉。





「外で”何か”があったのは、今なら分かるだろ?」





そう。


今、今なら。



周りが見えるようになった、今この時なら。