思わず口を塞ぐ。
どうして、
その言葉が言いたいけれど、喉に突っかかって出てこない。
「久しぶりだね、桜」
元気にしてた?なんて、
笑うめぐるは、私の知っているめぐるの笑顔じゃなかった。
笑っているのに、笑っていないような。
あの日の無邪気な笑顔の、欠片も残っていなかった。
「……っ、」
体が震える。
ただただ立ち尽くすことしかできなくて。
動きたいのに、話したいのに、
震えるだけで何もできない。
なんて、情けないんだろう。
そんな私を嘲笑うかのように、めぐるは言葉を紡ぐ。
「私ね…桜に裏切られたあの日の事、今でも忘れてないよ?」
「……っ!」
ゾクリと、
地を這ったような声に、背中に冷や汗が流れる。


