私に対して仁くんは、曖昧な笑みを零すだけ。 「変化はいらない。今のままで、良いんだ」 「…っ、」 私と、同じ? ”変化はいらない。” それは、いつしか私が思っていた事。 時間と共に変化していくのは当たり前の事だけど、 変わる事は、とても怖い事。 ほんとに、怖いの。 その怖さを、私は一番知っている。 「心配しなくても、大丈夫」 「え?」 怪訝な顔をする私に気付いたのか、仁くんがこちらを向いて言う。