元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー





「…じゃあ僕、行ってくるな」



「おう!」


櫂の元気そうな声に見送られ、屋上から出て階段を降りる。




「…………なんで、だろうな。」



階段を最後まで降りると、そこで止まる。


ホント、なんでだろう。

今さら思い出す、あの子の笑顔。
もう二度と僕にその笑顔を向けてくれることはないのに。

胸が締め付けられるように苦しい。



痛くて痛くて、どうしようもなくて。


「…っ」


僕は胸の痛みを誤魔化す様に走り出す。


もう、授業なんて受ける気分じゃない。


ただただ走る。

宛もないまま。