「…ら、桜っ!」


「っわ、な、何?」


めぐるが急に肩を叩くものだから、思わずビクッと肩を揺らす。


「海崎の顔見れたからさ?そろそろ教室帰ろっか。」


「あ、うん。」



そう言う事か、と自己完結しながらめぐるの隣を歩く。



「…にしても、めぐるは海崎くんと話したことあるの?」


「ゔ…っ!」


疑問に思ってたことをめぐるに問うと、言葉を詰まらした。それと同時に歩いていた足もピタッと止まる。


「…え、話したこと、ないの…?」


「いやぁ〜…ね?あ、あはは。」


「……、ないんだね。」


「……。」


黙り込むめぐるを見て、図星だ、と思った。

めぐるは活発で明るい性格だから、海崎くんとも話していると思ってたのに。意外。


「だ、だって…!す、好きな人の前だと緊張するじゃん…?」


「っ、ふふっ」



弱々しい声で、所々詰まりながらも話すめぐるを見て笑ってしまった。


「ちょっと!なんで笑うの〜!?」


「だ、だってめぐるが面白くて…っふふっ…!」



顔を真っ赤にして怒るめぐるを見ると、また笑い出してしまう。

だって、こんなめぐるは珍しいもの。なんだか幼い子供みたいで可愛らしくて、笑ってしまう。