元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




「あ゙〜っ!もう5時じゃない!!早く帰って用意しなきゃ!ほらっ、早くしなさいよ仁!」


「はいは〜い。」



急かす麗華に、車のドアを開ける仁くん。


「桜も!ほら、早くー!」


「あ、うんっ」


バタン、とドアの閉まる音がすると出発した。



「仁にしてはいい車じゃない。」



「え。それ褒めてる?貶してるの?」


「はぁ〜いぃ?褒めてあげてるんでしょ!?有り難く喜びなさいよ!」


「あ、ハイ。」


車の中で繰り広げられる言い合いに、私は思わず苦笑い。

仁くんが何を言っても、結局は麗華に丸め込まれる。麗華の方が年下なのになぁ。




「もーすぐ着くよ〜」



「もっとスピード出しなさいよ。」


「俺捕まる!スピード違反で捕まるから!」


「はぁ?アンタが捕まろうがアタシは知ったこっちゃないわよ。どうでもいいわ。」


「ひど!」


乗せてあげるのに!と仁くんは嘆くけど、麗華は仁くんに冷ややかな視線を送ってる。