「つまらなくないよ。聞きたい、聞かせて」
「嫌よ。話したくないの」
つっけんどんに、そう返される。
かわいくないなぁ。
ま、いいや。
聞いちゃうし。
「紗良奈の――その家?
住んでいるところは、この近くなの?」
「そうよ。ここから歩いて十分くらい」
「どっち?」
「向こうよ。あの木の向こう側。
茶色くて高い建物があるでしょ? そのまた向こう」
気だるげに指先を右に伸ばす。
「ふーん。じゃあ、今からきみはそこに帰るわけだね?」
「そう。帰るのよ。だから、あなたも帰れば?」
「ボク? ボクはどこにも行かないよ。しばらくはずっとここにいる」
「ずっとって、夜まで?」
「そうだねぇ。夜になってもいるし、朝になってもいると思う」
天歌を見上げ、ねぇ、と心の中で呟く。
「嫌よ。話したくないの」
つっけんどんに、そう返される。
かわいくないなぁ。
ま、いいや。
聞いちゃうし。
「紗良奈の――その家?
住んでいるところは、この近くなの?」
「そうよ。ここから歩いて十分くらい」
「どっち?」
「向こうよ。あの木の向こう側。
茶色くて高い建物があるでしょ? そのまた向こう」
気だるげに指先を右に伸ばす。
「ふーん。じゃあ、今からきみはそこに帰るわけだね?」
「そう。帰るのよ。だから、あなたも帰れば?」
「ボク? ボクはどこにも行かないよ。しばらくはずっとここにいる」
「ずっとって、夜まで?」
「そうだねぇ。夜になってもいるし、朝になってもいると思う」
天歌を見上げ、ねぇ、と心の中で呟く。

