「 こい 」


「(自然すぎて、逆に不自然な笑顔。下がった目尻と眉毛も、上がった口角も、どうしてあんなに藤井くんは、)」

そこまで考えた時に丁度藤井くんがこちらを向いた。私と藤井くんが目が会う。一瞬という言葉がピッタリな短い時間だった。

藤井くんは何故かにこっと笑った。

あっこれは少女漫画で見るやつだ。普通ならキュンってするところ。そんな風に冷静に考える私はきっと可愛げのない女子だ。


ここで無反応なのも失礼なので、一応私も笑っておくことにした。

そうすると藤井くんは少し顔を赤らめて目を逸らした。そんなの顔を赤くするようなことでもないと思うけれど。

あんなに理屈の無い笑い方をする人だったから興味があったけど、別に特別な人では無さそう。