アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

「お嬢様、あそこに何かいます!」


召し使いの一人が急に声を上げた。


前方を見ると確かに、遠くに黒い影が見える。


「猛獣だったら危険です、避けて進みましょう」


「いえ、待って」


「お嬢様?」


私は目を凝らして黒い影を見つめた。


「人が倒れているのかもしれないわ。このまま影に向かって」


「か、かしこまりました…」


近づくにつれてシルエットがはっきりしてくる。


やっぱり、人…?


「お嬢様のおっしゃる通り、人が倒れていますよ」


マナラが双眼鏡を見ながら言った。


「仰向けに寝ている…男です」


「速度を上げましょう」


私達はラクダを鞭で叩き、急いで影の元へ向かった。