アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

今回もだめだった……


思わずついたため息が、砂漠の空へ消えていく。


1週間に一度砂漠を越え、私は自分の住む町を離れて人探しをしている。


今日も…見つからなかった。


ーー私にはもう、時間がないのに。


舞い上がった砂が目に入って、涙が滲んだ。


夜空には三日月。


うっすらと砂漠を照らす月光。


それら全てを包み込む、冷たい夜の空気。


砂漠を越えて、町から行ける範囲の村は召し使い達と共に全て回った。


それなのに、いくら探しても目的の人物は姿を現さない。


もっと遠くにいるってこと?


でもあの人はそんなこと言っていなかった。


ーー瞳に三日月を持つ者。


これが、私が探している人。


私が生きるのに、必要な人……