宴当日。


私は朝から大忙しだった。


マナラが私に色んなドレスを着せて、これが似合うとかこっちの方がいいとか、お母様が口出しする。


ジョミンさんに少しでも綺麗な娘を見てほしいらしい。


「シャナは美人なんだから、礼儀正しくしていればそれだけでジョミン君は惚れるわ」


「…嫌よ」


「照れなくていいわよ」


お母様は上機嫌。


私は不機嫌。


こんなことをしている時間があったら…


アランとお喋りしたい。


今は何をしてるのかしら?


お庭の手入れ?


屋敷のお掃除?


ジョミンさんなんかよりずっとずっと。


アランの方が刺激的よ…


「これはいかがでしょう?」


いつの間にか私は、マナラにエメラルドグリーンのドレスを着せられていた。


キラキラ光る糸が使われていて、品のある素敵なドレス。


大きくあいた胸元には、エメラルドのネックレスをするとよく映えるかもしれない。


「よく似合うわよ、これにしましょう」


お母様もこのドレスで満足した様子。


「シャナ、次は宴の会場を見に行きましょう」


「はい、お母様…」


やっと解放されたと思ったのに、今度は会場を見に行くのね…


私は小さくため息をついた。