アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

「呪いよ…呪いだわ…んっ…」


シャナは俺の腕の中で、小さくぶるぶる震えている。


「大丈夫だ、俺の目を見ろ」


シャナの瞳はゆらゆら揺れて、視点が定まっていない。


俺はシャナのアーモンド型の大きな目をじっと見た。


徐々に視点が定まり、シャナの震えが治まっていく…









「はぁ…はぁ…」


「身体、動くか?」


「ええ…」


しばらくして。


震えは収まり、シャナは涙目で俺の腕の中にいた。


「アラン……久しぶりよ、こんなの。アランがここに来てからはずっと無かったもの」


「呪いが強まってきてるのかもな…」


シャナは俺に抱きしめられたまま、俺の胸ですすり泣いている。


「このままで、いて…?」


ドクドクドク…


上目遣いでそう言われ、不覚にも鼓動を速めている自分がいる。


俺はそれを悟られないように、思わずすっとシャナから離れた。


「さっきの…シャナの呪縛は俺の力で解けたってことなのか?」


「ええ、そうだと思う。アランの瞳を見つめたら、三日月が見えた…それで、身体が楽になったの」


シャナが自分からぎゅっと抱きついてきた。


「お願い、これからも私のそばにいて」


「ああ…」


これが俺にできる、精一杯の返事だった。


どうしよう。


本当にどうしようか。


どうしようもなく……






ーー俺はシャナが好きだ。