アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー





「シャナお嬢様。もう今日はここに泊まって、明日町へ帰りましょう。夜は気温が下がりますし危険です」


「嫌よ、早く帰ってお父様に会いたいわ」


この会話を世話役の女、マナラとしてからどれぐらい時間が経っただろうか。


ラクダに揺られ、流れていく砂漠の風景を眺めているのも飽き飽きしてきた。


暑かった気温はぐっと下がりはじめ、砂漠に夜の訪れを告げている。


顔をショールで覆っているものの、寒さが身に沁みる。


「あと少しで町かしら?」


「まだだいぶかかりますよ」


マナラの言うことを聞いて、今夜町へ戻るのはやめておけば良かった。


共に移動している召し使い達も顔を完全にショールで隠し、無言で疲れた身体を動かし歩いている。