「そうか、お主が三日月を持つ者だったのか!」


次の日。


俺はシャナに、シャナの父親のところへ連れて行かれた。


父親の部屋はシャナの部屋よりもさらにギラギラしていて、伝統的なアラベスク模様が施された高級感のある家具が置かれていた。


こんな部屋に毎日いたら、気が休まりそうにない。


「これは驚きだ…まさかこんな小汚らしい貧乏な小僧がそうだとは、想像もしていなかったよ」


シャナの父は髭を生やしていて、怖そうにも頼もしそうにも見える。

顔は笑っていても、目が笑っていない。


そんな本心の分からない人だ。


「お父様、そんな風にアランを」


「はっはっは!シャナ、こいつがお前を救える三日月を持つ者なら好都合だ。下手に身分が高いと扱いにくいが…こいつなら自由に使える」


「やめて!」


シャナが俺をかばおうとする。


ーーやめてくれ。


お父さんの言っていることは、全て正しいんだ。


「おい、歳はいくつだ?」


シャナの父親が聞いてきた。


笑っていない目で。


「…18です」


「はっは、やはり小僧だな。小僧、三日月を持つ者としての使命を、ちゃんと果たしてくれよ?」


「…はい」


昨夜、シャナから聞いたときはかなり驚いた。


俺の目の中に三日月?


呪いが解ける?


信じられない。


シャナは、やっぱり呪われていたのか…


「だがな、シャナに手を出したら八つ裂きだ。無駄に近寄るな」


「八つ裂き⁉︎お父様、正気なの⁉︎」


シャナが顔を真っ赤にして怒っている。