「アランったら、ふらふらどこ行ってたの?」
屋敷の掃除に使う道具を取りに行ったら、道具入れの前に召し使い仲間の一人がいた。
一つ年下の、ふわふわした天然パーマが特徴的な女。
名前はラムリだ。
「休憩」
「嘘つかないで。さっき部屋を見に行ったけど、いなかったよね?」
「関係ないだろ、俺がどこをふらついてたって」
俺はほうきを持ってラムリから離れようとする。
「もしかして…お嬢様のところ?」
ギクっとして俺は立ち止まった。
「なんで…そう思うんだ?」
「図星なんだぁ」
ラムリは目を三日月型にしてにたにた笑っている。
「品がねぇな」
「あたしはお嬢様と違って、貧乏人だもん!」
「…そうだな」
さっきはシャナに、ちょっときついことを言い過ぎたかもしれない。
なんで俺はあんなことを言ってしまったんだろう…
シャナが本当はブレスレットのことで悲しがっていたわけじゃないって、俺は分かってた。
でもはぐらかした俺。
これではぐらかしたのは、占いの時以来二回目だ。
「アラン?」
黙ってしまった俺のことを、ラムリが不思議そうな顔で見ている。
「お嬢様のことで悩んでるの?」
ーーまたもや図星。
「シャナお嬢様は美人だし、すごく明るいし、素敵だと思う。だけど…好きになっちゃったら後で自分が後悔するよ?」
「……好きじゃねぇよ」
ただ、自分を責めているだけ。
