昔、酒屋でどこかの国の商人がこう言っていたのを覚えている。
ーーキスより甘い蜜はない。
どれほど甘いのだろう。
どんなことにも大抵は無関心な俺だが、これだけには好奇心が疼いた。
俺は今、キスどころか砂漠のどの辺りで横になっているのかも分からない。
巻き上がる砂と強い光で目は開けられない。
こんな俺に、誰かに口づけをする資格なんてない気がする。
ああ、喉が渇く。
皮膚が焦げる。
俺はこのまま、この広い砂漠に埋れて行くのかーー
それでもやっぱり、死ぬのは嫌だった。
なぜか、まだ死んではいけない気がしていたーー
ーーキスより甘い蜜はない。
どれほど甘いのだろう。
どんなことにも大抵は無関心な俺だが、これだけには好奇心が疼いた。
俺は今、キスどころか砂漠のどの辺りで横になっているのかも分からない。
巻き上がる砂と強い光で目は開けられない。
こんな俺に、誰かに口づけをする資格なんてない気がする。
ああ、喉が渇く。
皮膚が焦げる。
俺はこのまま、この広い砂漠に埋れて行くのかーー
それでもやっぱり、死ぬのは嫌だった。
なぜか、まだ死んではいけない気がしていたーー
