「大丈夫か?」


シャナは薄く笑った。


「来てくれたのね…」


「声が聞こえたから」


「あなたの部屋まで?」


「ああ」


シャナは起き上がった。


「変なの。隣の建物にまで聞こえるはずないじゃない」


「俺には聞こえた」


「そう…でも私」


シャナが俺の手を握り返してきた。


「アランなら助けに来てくれる、予感がしてたの」


シャナの手は微かに震えている。


「私…毎日怖い」


「寝ることが?」


シャナは頷く。


「寝ると突然、金縛りにあったみたいになるのよ。金縛りなんかよりも、もっとずっと恐ろしいけれど」


「そうか……」


信じたくはない。


しかし、もし本当にシャナが呪われているのなら…


これは呪いが原因?


「分かった」


俺はシャナにもう一度寝るように促した。


「お前が寝てる間、ずっと隣にいてやるよ」


「いいの⁉︎」


シャナが目を輝かせる。


「さっきアランが手を握ってくれた瞬間、苦しくなくなったの」


「手を握っててやるよ」


「……ありがとう」


シャナは再び横になると、安心した顔でそっと目を閉じた。


「おやすみなさい、アラン」


「ああ…」




屋敷を、濃い闇が包んでいるーー