「お嬢様、アランさんに仕事を教え終わりました」
部屋に入ってきたマナラの言葉で、私は現実に引き戻された。
「それで、アランは今働いてるの?」
「いえ。まだ完全に回復されたわけではないので、また部屋で休ませていますよ」
私は何となくアランのことが気になって、部屋まで行くことにした。
「入るわよ」
ノックしてアランの部屋に入ると、アランは寝ないで窓の外を眺めていた。
褐色の肌が太陽の光に照らされて、キラキラしている。
アランが振り向いた。
「仕事は覚えれそう?」
「まあ、何とか」
アランはよく見るとすごく男前。
気取っているどんな貴族の男性よりも、筋の通った鼻をしている。
「召し使いなのにこんな部屋で寝ていいのか?」
「もちろんよ、お父様も許して下さったわ」
「落ちつかねぇな、こんな金ピカの部屋」
アランはため息交じりに言った。
「そのうち慣れるわよ。そんなことより…」
私はアランの隣に行った。
窓から砂漠の風が入ってくる。
「アランは何歳なの?」
アランはちらっと私の方を見た。
「お前よりは絶対年上」
「何よそれ」
私、いつもはこんなにうるさくないのよ?
ただ…アランを元気付けようとしてるだけ。
テンションが上がってるっていうのもあるけど。
「18だ。お前は?」
「16歳」
やっぱり下か、と言ってアランはまた窓の外を眺め始めた。
