アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

「もし良かったら……ここで働かない?」


思いがけない提案だった。


「ほら、恩返しだと思ってくれればいいの」


そう言いつつシャナはもじもじしている。


「いいのか?」


ここで働ければ仕事を探す手間も無くなるし、好都合だ。


でもこんな夢みたいな話あるのだろうか。


「ええ。ちょうどこの前、召し使いが一人辞めてしまって。だから、きっとお父様も許して下さるわ」


「そうか…」


「あと住み込みで働いてもらうから、食べ物の心配もないわよ?寝る部屋もあるし、それに…」


シャナが言葉を濁す。


「それに…は、話し相手が欲しかったら私と…いつでもお話ししましょう?」


顔を赤くして一人で恥ずかしがっているシャナ。


なんかちょっと、可愛い。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


「ほんとに?ほんとに、ここにいてくれるの?」


シャナの顔がぱっと明るくなった。


喜怒哀楽の激しい奴だな…


「お父様のところへ行きましょう。うーん、でもその前に、お風呂に入って着替えた方が良さそうね」


砂で汚れた俺を見て、シャナはくすくすっと笑った。