アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

「ラクダに乗ってここまで来たこと覚えてる?」


「ああ…途中までは」


シャナはふふっと笑い、小さくえくぼを作った。


「途中までで当然ね。あなた、私の背中で気がついたら気を失ってたもの」


「そりゃ…どうも」


俺、かっこ悪りぃな。


「普通、逆じゃないかしら?砂漠で倒れてる少女を助けにくる王子様っていう方が、しっくりくるわ」


「そうかもな」


暗闇ではよく見えなかったけれど、シャナは綺麗な黒髪をしている。


天使の輪ができているのがその証拠だ。


「ここは私が住んでいるお屋敷の空き部屋なの」


「空き部屋でこれかよ……」


この子は良いとこのお嬢みたいだ。


それもかなり裕福な。


「さ、お食事にしましょ?」


何がそんなに嬉しいのか分からない。


けれどシャナは、にこにこ笑ってとにかく楽しそうだった。