アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

「私にもたれていいのよ。ちゃんと掴まっていて」


青年は私の後ろでぐったりしている。


「いいのか……?父親に怒られるんだろ……?」


「聞いてたの?」


「ああ」


「大丈夫、あなたそんなに悪い人じゃなさそうだから」


「ゴホンッ…ゴホゴホッ」


背後で青年が咳き込んでいる。


「出発しましょう、もっと寒くなってしまう前に帰らなければ」


私の言葉で、再び私達は町へ向かって進み始めた。


ゆっくりと景色が流れ始める。


「ねえ、あなたはどうして倒れていたの?」


「…砂漠を越えたかった」


「えっ?」