アラビアン☪ナイトー砂漠の騎士ー

「お前……誰だ」


青年が乾いた声で言葉を発した。


「私はシャナ」


「そうか……」


それだけ言って、青年はまた目を閉じようとする。


「だめよ、水を飲まないと」


私は再びマナラから水を受け取り、青年の口に優しく注いだ。


青年の喉仏がゆっくり上下する。


「お嬢様、この者をどうされるおつもりですか?」


マナラが心配そうに私を見る。


「あなたの想像通り…屋敷まで連れて帰るわ。私は歩いて、この人をラクダに乗せればいいじゃない?」


「歩かれるのですか⁉︎」


「じゃあ、二人乗りするわ。私の後ろにこの人を乗せて」


マナラは困った顔をしている。


「こんな汚らしい男を連れて帰って、旦那様に知られたらどうなることやら……」


「平気よ、お父様は私に甘いでしょう?」


私は召し使いの手を借りてラクダに跨った。


「ほら、早くその人も乗せるのよ」


「シャナお嬢様にはかないませんね…」


召し使い達が青年を抱き上げ、私の後ろに座らせた。