手が届く距離なのに。



「お、お名前聞いても良いですか?」

「へ?」


名前……? 戸惑いを隠せず、隣を見ると野々花もポカンとした表情をしている。


「に、西野麻虹です……」


そう言うと、女の子は途端に嬉しそうに笑って「ありがとうございます!」と言って頭を下げた。

その笑顔がとびきりに可愛くて、あたしは思わずドキッとしてしまう。


「突然すみませんでした、失礼します!」

「えっ、ちょ……」


女の子はそのまま廊下へ戻って行ってしまった。

い、一体なんだったの……。

あたしは自分がローファーを片足しか履いていなかったことに気付いて慌ててもう片方も履いた。

その瞬間、突然野々花にガシッと肩を掴まれてあたしはビクッとする。