手が届く距離なのに。



「もしかして、昼休みの……」

「そうです! 先輩が階段から––」


女の子は階段の方を指差してから、何かに気付いたように咄嗟に手を引っ込めた。

この子、あたしが昼休みに階段から落ちた時にいた子だ。
しかも今“先輩が階段から落ちた時に居ました”的な事を言おうとしたのかな……えっ気まず……。

野々花は当たり前に意味が分かっておらず「え、知り合いなの?」と小声であたしに言う。


「知り合いというか……」


この場合、彼女とはどんな仲だと呼ぶべきなんだろう……いや、まだ名前がつくほどの関係持ってない気もするけど……。


「あたしに何か……?」


この微妙な謎の時間から逃げたくなってきて恐る恐る聞くと、女の子は微かに口を開いた。