手が届く距離なのに。



「はあ〜、わたしも次の恋探すかなあ」


昇降口について下駄箱の扉を開けながら野々花が呟く。


「探して見つかるものなの?」

「……いや、そういう訳でもないんだけど」


……やっぱり恋愛って複雑そうだなと思いながら、あたしは下駄箱から出したローファーを地面へ置いた。


「あ、あの!」


その時、突然後ろから声を掛けられ、あたしはローファーに片足を突っ込んだ中途半端な状態で振り返ると、そこには内履きに緑色のラインが入っている一年生の女の子が立っている。

もしかしてあたしたちに声をかけたわけじゃないのかな、と思って辺りを見回してみても、ここにはあたしと野々花しか居ない。


「あの、えっと……」


女の子が控えめに言ったとき、あたしはピンときて「あっ」と声を出す。