ケイちゃんは地味にツボにハマったのか、笑ったまま誰も座っていないわたしの隣の席に座った。

彼はケイちゃんこと、水谷慧(みずたにけい)

“ケイちゃん”という呼び方は、初めて会ったときに彼自ら「俺のことはケイちゃんって呼んで!」と謎に迫られたから。

この2人は小学生からの幼馴染らしいけど、お互い全く違う雰囲気で、ケイちゃんは優しげで可愛らしい雰囲気。

けれど、身長は峰と同じくらいだからそりゃあ目立つ。2人並ぶと尚目立つ。
あたしの身長では会話するとき首が疲れてしまうのがこの2人に言えない小さな悩みだったりする。

ケイちゃんは外見も内面も軽そうに見えるけど、結構紳士的なところもあったりして、男女問わず友達も多い。

いつの間にかケイちゃんの笑いが治まりはじめたそのとき、机の上に置いていたスマートフォンの通知が鳴った。

ディスプレイを見ると、友達の野々香からのメッセージが表示されていた。