手が届く距離なのに。




「好きとまでいかなくても、気になる人とかさ」

「どうしたの急に、普段こんな話しないのに」

「んー、なんとなく」


なんとなくって……昨日といい今日といい、なんでこんな話題が多いんだろう。

でも、野々花は昨日のことなんて全く知らない訳だし偶然なんだろうけど……。


「あたし、未だにそういう“好き”とかって分からなくて……」


きっとこれは恋愛未経験とかいう問題の前に、あたしは誰かに対してどういった感情を抱けば“好き”に繋がるのかよく分かってない。

これは自分にとって割とコンプレックスで、友達の恋愛話には聞き役に徹していた理由もここにある。

野々花はあたしの言葉を聞いて何か考えを巡らせるような表情で腕組みをした。