手が届く距離なのに。



「気を付けろよ、ドジ」

「ひとこと余計なんだけど」


あたしよりもやっぱり大きい峰の手は、冷たいことなんてなくて安心する。

お互いにさりげなく手を離して、あたしは自販機の元へと向かった。


「そういえばケイちゃんは? 一緒じゃなかったの?」

「学校戻ってきたら生徒指導に連れて行かれた」

「ああ……」


飲み物を買って峰と教室に戻ると、野々花が驚いた様子であたしたちを見た。


「峰くんと麻虹、なんで一緒なの?」

「飲み物買いに行った時、ちょうど会ったの」

「麻虹、不細工な悲鳴上げて階段滑り落ちてきたんだ」

「ちょっと、言わないでよ!」

 
眉を寄せて言うと、峰は悪戯っ子みたいに笑って肩をすくめる。