† トータル †








「ミウ!何でミヤを助けたの!?」

「ユミコ姉ちゃん・・・」

「死ぬかもしれなかったのよ!?」

「でも・・・見過ごすわけにはいかないよ!」

「ミヤのことは、タケオに任せれば良かったのよ!
ミヤの指導係は、タケオなんだから!」

「タケオ兄ちゃん、ミヤのことなんて完全に無視だよ!?」

「そうだったかもしれないけど。
でも、ミヤをミウが助けることなんてなかったのよ!
ミウのせいで、ミヤは殺されたのよ!!」

「あたしのせいなの!?」

「立ち止まって泣いたミヤを、放っておけば良かったのに。
何馬鹿なことしているの?
掟をやぶってまで・・・・・」

「あたし、見捨てることは出来ないわ!」

「じゃあ、ミウが死んでも良かったの?」

「し、死にたくはないけど・・・」

「なら見捨てなさい。
ここにいるときは、人間の心を捨てなさい」

「心を捨てるなんて・・・出来ないよ」

「言ったでしょう!?
自分の身は自分で守りなさいって。
守るためには、心を捨てないといけないの!」

「・・・ッ」

「ミウは本来、殺されていたのよ。
人間の心を捨てないから。
でも、ミウは成績優秀だから、殺されなかった。

心を捨てないばかりに、殺された子どもを、あたしは知っているわ」



ユミコ姉ちゃんは、部屋を出て行った。




ユミコ姉ちゃんが、あたしを思ってきつく言ったのは知っている。

ユミコ姉ちゃんは誰よりも優しいから。



でも・・・

あたしは自分から謝ることが、

出来なかったんだ。