「僕が・・・隠している、だと?」
暗い瞳で智也くんを見る杏奈。
杏奈を見る智也くんの瞳も、暗い。
「馬鹿言うな。
僕のことなんて、アンナちゃんに関係ないだろ」
「じゃあ、アンたちのことも智也くんに関係ないね。
関係ないんだから、出て行ってよ。
アンたちの世界に、智也くんは、いらないから」
智也くんは何故かニコリと微笑むと、屋上を出て行った。
「ちょっと杏奈!」
「・・・んだよ美果」
振り向いた杏奈は、もうオレの杏奈だ。
「喧嘩売らないでよ。
私たちがトータルだってばれたらどうするの?」
「先に喧嘩売ったのはアイツだろ。
オレは知らないね。・・・寝る」
杏奈はそのまま寝転がってしまった。
「大丈夫だよ、美果。
杏奈が失敗することなんてないからな」
「杏奈は間違ったこと言ってませんし」
「・・・そう、だよね」