両親が亡くなってからは、姉が私を養ってくれた。

姉だと言っても、姉は私が幼稚園の5歳の時、30歳近くだったので、姉と言うよりかは、母親という感じだった。

私は姉が大好きだった。

多分、実の母親以上に。




でも、私が幼稚園卒業と同時に、姉が亡くなった。

姉の死因は、スリ師とは関係なかった。

姉は、スリ師だけでなく、キャバ嬢として働いていた。

そこで出会ったある男の人に、姉は惚れた。

男性も姉を気に入り、お互い結婚を考えていた。




ある時、男性の元カノだと言う女性が現れた。

女性はお金持ちの令嬢で、キャバ嬢でスリ師の姉とは正反対の、裕福な暮らしを送っていた。

男性は元カノに「好きな人がいるから」と言われ別れたが、女性の方から「やり直したい」と言いだしたのだ。

男性は姉をやめ、元カノと結婚。

姉を捨てた理由は、簡単。

女性の方が、姉よりお金持ちだから。

結局、男はお金を選んだのだ。




姉は自殺してしまった。

お腹に包丁を自ら刺して。

手首を切る自殺にしなかったのは、最後まで寝ていた私を見るため。



朝起きたら、枕元で姉は血まみれで亡くなっていた。

私は思い切り泣いた。

誰よりも好きだった姉が、亡くなったのだ。