催眠ガスを吸い込まないよう、白鳥親子は腕で口元を抑えるも、無駄だった。
先に白鳥警部が気持ちよさそうに眠り始め、智也は跪いた。
その間に2人は部屋を脱出する。
白鳥親子は他の警備員に何も知らせず部屋に来たらしく、他に警備員は見当たらない。
「フミ、準備は良いですか?」
〈オッケー。こっちはいつでも大丈夫だよ〉
美果と織子は、腰に特殊なベルトを締め、窓を開ける。
窓はガラスが厚いので、防弾ガラスにはなっているのだろうが、鍵は簡単に開く、どこの家にもありそうなものだった。
この屋敷の主人は、どこか間抜けである。
窓にベルトと繋がっている金具を掛け、下へ降りる。
丁度、ビル4階建てぐらいの高さだ。
下には美雨が愛用する車が停まっており、その上に着地して、天井に着いている窓から、車内へと滑り込む。
「お帰りー」
「お疲れ様、絵は?」
絵を早く見せろと言わんばかりに、杏奈がキラキラしている瞳で言う。
美果はクスクス笑いながら、絵を渡した。