「確かに俺はトータルを逮捕することに燃えている。
今も、それは変わらない。
しかし、俺は先ほど、トータルにデータを盗むよう頼んだ。
織子を盗むようにも頼んだ。
頼んだのに逮捕なんて、そんなことは出来ん」

「・・・良いの?」



織子が不安そうに尋ねる。



「勿論、いつか逮捕する。
しかし、今はしない。
もっと証拠を見つけて、逮捕してみせる」

「僕もそうするよ。
トータルを現場で見かけ、僕の考えた罠にアッサリ嵌まったところで、逮捕する。

これからは、この世から犯罪者をなくすっていう本来の目的のために、僕は今まで通り探偵を続けて行くよ」




「・・・ありがとう。お父さん、お兄ちゃん」

「お礼はいらない。
さぁ、早く行きなさい。
このままいると、部下が戻ってくるからな」

「・・・うんっ!」




織子が私たちを見て、頷いた。

この上ないだろう、満面の笑みを浮かべて。




「行こう!」

「「「うんっ!!」」」




私たちは、警察署を何事もなく抜け出すことに成功した。