「無理にチーズケーキ、食べなくてもよかったのに。」
変なとこでムキになる早川先輩はバカだと思う。
「でも俺、藤野のことなんも知らない。」
「なに当たり前なこと言ってるんですか。」
まだ知り合って日も浅いし、当たり前。
それなのにあたしのことをよく思ってくれてるなんて、嬉しすぎるんですけど。
「これから知っていけばいいんです。
あたしにも早川先輩のこと教えてください。」
「俺、チーズケーキ嫌い。」
「それはもう知ってますよ。」
むすっとする早川先輩を笑いながら、あたしは最後のひとかけらを口に放り込んだ。

