「藤野。」


待ち合わせの公園に現れた早川先輩はいつにもましてかっこいい。


染めたのは受験の為らしい黒髪に、細身のジーンズに白を基調としたシャツはイケメンじゃないと着こなせないやつ。


秋を思わせる色素の薄い瞳は、太陽の光を受けて一層茶色く輝いてる。


何より今日は8月3日。


先輩のいう禁欲期間が解けてからはじめて会う日なわけで。


「手だして、藤野。」


ずっと我慢してきたこの男が、ウキウキしないはずない。


…し、あたしだって。


「はい、早川先輩。行きましょう。」


そう言ってどちらかともなく恋人つなぎをする。



触れたくなかったといえば、それは嘘になる。