そうと決まれば、藤野で遊ばない手はない。 俺は藤野から浮き輪を奪うと、細い腕を掴んでぐんぐんと沖の方へ進んだ。 「え、ちょ、早川先輩っ!! やだ、早いです!っ足つかない!」 「藤野騒ぎすぎっ……っと。」 深くなり始めたところで、藤野はぎゅっと俺の首に手を巻きつけて抱きついた。 …可愛い。ってか普通に嬉しい。 だってこれ、不可抗力。 これで突き放したら藤野溺れちゃうし。 意外と海って、パラダイスだったりするんじゃない?