「早く、海入りましょう。」 「えっ、藤野っ」 不意打ちだ。不意打ちすぎる。 ごく自然に俺の手を握って歩き出した藤野。 別になんてことないはずだった。 でも今の俺にとっては、 (マジ心臓煩いんだけど。ってかなんなの、藤野。無意識なわけ?) そんな少しの触れ合いだけでも、胸をときめかせる要素なわけであって。 っつか超嬉しいし。 「藤野ー、可愛い。」 「や、やめてくださいよ!公衆の面前でっ!」 嬉しくなった俺は上機嫌に笑って、藤野の薄い手をぎゅっと握った。