「藤野…何してるの…」
懐かしいような、先輩の香り。
背中に回されない腕だって、悲しくもなんともないから。
都合のいい女だと思われてもいい。
軽蔑されても、突き放されてもいい。
「好き、早川先輩が、好きなんです。
…今更ですけど、あたしは早川先輩が好きなんです。
もう一度、あたしだけをみてください。
他の子なんか見ないで、ください。
スキじゃないなんて、ありえない。
あたしは、早川先輩のことが苦しいくらい好き。」
大きく開いた胸ぐらを掴んで、あたしはグイッと引き寄せて、
「あたしの本気、知ってください。」
少し首を傾げて、早川先輩の形のいい唇に、自分のそれを重ねた。

