「何、してんだよ。」 覚悟した衝撃はいつまで立っても訪れることはなくて、代わりに振って来たのは胸が震える低くて心地いい声。 目を開くと、男の手を掴んでひねりあげる早川先輩が、冷たい目をして先輩を睨んでいた。 「藤野に手出すのは許さないよ? …汚い手でさわんじゃねぇよ。」 「悪かった、悪かったから!!!」 涙を浮かべる情けない男を一瞥した早川先輩は、ドンッ、と男を突き飛ばした。 「このバカ! 何無茶なことしてんだよ、男を甘く見るな。」 「ごっ、ごめんなさっ…」