あたしは、ついにクリーニングにだした上着を丁寧にしまった紙袋を掴んで深呼吸した。 真っ黒なプリーツスカートと黒髪が太陽の熱を吸い込んで暑い。 あたしは今、風ヶ丘男子の校門の前に立っている。 もちろん、早川先輩を待ち伏せしているのだ。 風ヶ丘の生徒を待つカオリ女子は珍しくないから、それほど浮いてはいないはず。 壁に寄りかかって頬をつけると、冷たくて気持ちいい。 緊張する胸を抑え込むように、あたしは深呼吸を繰り返した。