いっそ秋にも慧にも遠慮せず、藤野を奪ってしまおうか。
俺の方が絶対に藤野を幸せにできる。
そんな自信が俺にはあった。
2人みたいに悩ませないし、泣かせたりなんかしない。
そんな気持ちからした行動は、冗談として軽く一蹴されてしまったが。
遠回しに愛を囁いても、ぎゅっと抱きしめても。
「また、そんなことしてると将来女の子に殺されて早死にしますよ。」
天然記念物並みの鈍感美女には通用しないみたいで。
「藤野に殺されるならありかなぁ。」
これふざけてるわけじゃないんですけど。
「なにバカなこと言ってるんですか、またほっぺた抓りますよ!?」
いつかのやりとりを思い出して、俺は思わず声を立てて笑った。

